埼玉県狭山市の自動車整備工場、FTECコーポレーションが、主に特殊整備にカテゴライズされる業務内容を紹介するブログです。

300Cに24インチホイールを装着

クライスラー300C(LX57)2006年式です。
ドレスアップを目的として、ホイールを交換しました。


選択したホイールは、ジオバンナの24インチ。
乗用車用としては現在入手できる限界の、扁平率25%のタイヤを装着します。

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クライスラー300C 5.7HEMI の標準装着タイヤは、225/60R-18 (外径 727㎜)。
現車が入庫前に装着していたタイヤは、265/30R-22 (外径 718㎜)。

今回装着するタイヤは、275/25R-24 (外径 748㎜)です。
標準装着タイヤより21ミリ、入庫時のタイヤより30ミリ大径化される計算になります。


ジオバンナの24インチは、タイヤが組まれた状態で供給されます。

このサイズを組めるチェンジャーがあるタイヤショップも増えてきてはいます。が、日常的に組んでいるサービスマンはまだまだ少ないはず。

FTECとFTECのお客様はタイヤには滅法神経質なので、訓練されたサービスマンがきちんと組んで供給してくれるのは嬉しい事です。


さすが扁平率25%。リムと路面のクリアランスは極小です。
車重が乗ってタイヤが潰れれば一層ぎりぎり感が増すでしょう。



このホイールは、日本の車検に必要な強度に関する公的機関の証明も取得しています。

・ JWL (Japan light alloy wheel standard)
・ VIA (Vehicle Inspection Association of Japan)
・ DOT-T (Department of Transportation)

DOTは北米の規格ですが、日本でも強度の証明として通用します。乗用車の車格なら、近年SAE J2530 でも日本の車検に通用するようになったのは記憶に新しいところ。

なお、一輪あたりの耐荷重は2,200LBS ( = 997kg) となっています。


ホイールのサイズは、

F : 9.0J x 24 ET 15 PCD 115
R : 10.0J x 24 ET 17 PCD 115

ステアリングの切れ角減少をいとわなければ、前後10Jも装着できます。しかし、タイヤが要求するリム幅としては、9Jが最適。10Jなら285か295、305が欲しいところですが、扁平率20%以下のタイヤが市場に出回っていないので、それらを総合的に判断してこのサイズを選択しました。

FTECがメンテナンスするクルマは、飾りではありませんからね。


新品のジオバンナに275/25R-24を装着し、まずフロントハブに仮組み。
アッパーアームのボールジョイント先端が、タイヤのトレッド面に干渉することを確認。


前述した通り、新たに装着するタイヤは標準装着タイヤ +21ミリの外径です。
つまり、この部分の干渉は半径10.5ミリの拡大による影響ということです。


純正サスペンションが非常にタイトな設定であることが解かりますね。
タイヤチェーン装着を計算に入れる日本車ではあり得ない設計です。


アライメントを考慮するならば、キャンバー調整を制限しないことが条件になります。キャスター調整でもサードリンクが変位するので影響ゼロではありませんが、2~3ミリも動くことはありません。
その他、走行中のタイヤの変形、ハブやボールジョイントの遊び量などにも配慮し、安全なクリアランスを確保します。ホールジョイント自体の結合剛性を損なわないことが前提になるのは言うまでもありません。


ナットのねじ山が始まるところを目安に、ボールジョイントの先端を切除します。
必要最小限の加工に止めることで、設計上の剛性と整備性を維持できます。




アッパーボールジョイントとタイヤとの適正なクリアランスについては、純正装着タイヤの外径がヒントになります。即ち、直径で21ミリ、半径で10.5ミリ拡大して干渉したという結果から、純正装着タイヤとアッパーボールジョイントのクリアランスは約10ミリだったと推察できるということです。



最小限の加工で必要なクリアランスが確保できたことを確認。簡単に防錆処理を施して車高を調整します。一連の写真でお分かりの通り、この300Cには四輪に無段階調整式のサスペンションが組みつけられています。


今回のモディファイでは、タイヤの半径分車高が上がるので、ロードクリアランスが拡大してエアロパーツを破損するリスクが下がります。一方、タイヤの扁平率が下がるのでリムと路面のクリアランスは減少しホイールを損傷するリスクは高まります。

車輌各部に与える影響を考慮して、新しい車高を決めていきます。






純正フェンダーを切らず折らず、SRT-8 用フェンダーモールも貼らず。オーナーから示された条件のもと、走行性能を満たす最適解を求めて調整をくりかえし、最後にトー角とキャンバー角を調整して完成。ロックtoロックで拳ひとつ戻すだけで、車体の何処にも干渉しないセッティングができました。




お引渡しの前に、過去に起きたパンクの影響によるDTC( = ダイアグノースティックトラブルコード)を消去。これらのコードはログが残っていてもMIL( = マルファンクションインジケータランプ)を点灯させないので、オーナーが運転中に気付くということはありません。

こうした事態をカバーするため、スキャナーによる診断の際は全項目を巡回点検して過去のDTCと向き合うことを、FTECでは励行しています。


参考までに、道路運送法に定められたフェンダーの検査基準を示します。
車軸中心から前方30°後方50°の鉛直線がフェンダーアーチに隠れること、となっています。


現車の走行距離は、97,975㎞。何度も思い切ったリフレッシュを繰り返し、今や初めて手に入れた時よりしっかりしたクルマに仕上がりました。

FTECコーポレーションは、クルマはまずもって道具としての機能を満たしていることが存在の条件だと考えます。車庫で眺めて愛でるだけなら、ナンバーも税金も必要ないのですから。

走り、曲り、止まること。それらが一切の心配なく整っていてはじめて、ドレスアップが効いてくる。
そういう付き合い方を体現してくれるオーナーに、心より感謝の意を表します。


おまけの動画は、クライスラーのプロモーションビデオ2本。
歴史と伝統を重んじる精神と、新たな市場を開拓する野心が見て取れる、傑作です。





日本の自動車メーカーも「作り手の歴史」から「使い手の歴史」に焦点を当てるよう変わってくれれば、消費者の帰属意識が喚起されると思うのですがね。価格と燃費だけが指標では、メーカーやブランドなんてどうでもいいやという消費者ばかりになってしまうのは当然です。

FTECの勝手な要望としては、価格も燃費も見ずに「コレ買った!」と叫んでしまうような、魅力あふれる新型車の投入を自動車メーカーにお願いしたいです!