埼玉県狭山市の自動車整備工場、FTECコーポレーションが、主に特殊整備にカテゴライズされる業務内容を紹介するブログです。

三菱G54Bのウォーターポンプ交換

三菱の2.6リッター直列4気筒エンジン、G54Bです。
エンジン冷却水の漏れを修理するために入庫しました。


 G54Bは、デボネアやスタリオンのほか、最後期のジープにも搭載されています。
MT車が大勢を占めていた頃のエンジンで、極低回転域から有効なトルクを発生します。

四半世紀に亘った生産実績は、保守的で堅実な設計の賜物。
些細な水漏れなどは手早く直して、まだまだ働いていただきましょう。

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旧車はエンジンルームの作業域が確保しやすいので特殊工具が要りません。
簡単なガレージで、段取りにさえ気を付ければ、DIYするのも楽しいでしょう。



工具を入れると「ざくっ」と粗い手応え。取外したホース類はすべて交換します。

「ざくっ」?

・・・まあこんなものですね。

うっ、嫌な手ごたえ。

・・・そう来ると思ったよ。


折れ込んだボルトは2本だけでした。この手の作業としては普通です。
DIY派の人には、「イレギュラーを楽しむ」、心と時間のゆとりが要るでしょう。

折れたボルトは当然交換し、残りは磨いて再使用します。 

交換したフランジボルトは、ユニクロメッキのグレード4。

新しいウォーターポンプの取付面は、結合にふさわしい状態に仕上げます。

ガスケットリムーバーとオイルストーンで面出し。

すべての雌ネジをタップで修正。

鋳肌のバリは除去して念入りにエアブローします。

シャープエッジをNOGAのデバーリングツールで丸めて密着させます。

組付け→給水→作動テストを実施し、最後にクーリングシステムテスターで冷却水路の水密を点検。漏れのないことを確認して、整備は完了です。

冷却水路のエア抜けも良好。実用車の鑑ですね。

ファンをフルードカップリング化すれば、さらに静粛になるでしょう。

このG54Bは、三菱にあった最後のシリンダーヘッドを、FTECが組んだエンジンです。

ジェットバルブつきアストロンの滑らかなアイドリングは、30年経ったいまも健在。

オーナーの愛情のおかげで今回も素早く対処でき、オーバーヒートを免れました。

古き善き時代の語り部として、まだまだ頑張っていただきましょう。