埼玉県狭山市の自動車整備工場、FTECコーポレーションが、主に特殊整備にカテゴライズされる業務内容を紹介するブログです。

タホのクーラント漏れ修理

シボレー タホです。クーラント漏れで入庫しました。
このエンジンは、トラックシリーズに幅広く搭載されているV8、350CID。

冷却水が減る症状が出てから、長期間継ぎ足しながら走っていたとのこと。
おかしいと感じたらすぐに点検に出した方が、傷が浅くて済むのですが・・・


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クーリングシステムテスターで冷却水路を加圧したところ、ウォーターポンプからの冷却水漏れが確認できました。ウォーターポンプ自体が消耗品なので、走行距離を鑑みると順当な症状です。


分解していくと、ウォーターポンプ以外にも要整備箇所が見つかりました。


ECTセンサーやヒーターチューブのネック部にも、クーラント漏れの痕跡が。


これらの状況は、かなり以前から水漏れが起きていたことを表しています。


いわゆる「漏れ止め剤」が入れられていた可能性も高い。お客様には身に覚えがないそうですが、前オーナーや中古車販売店やガソリンスタンドがどう判断したかまでは、確かめようがありません。


ウォーターポンプの背面には、明らかな水漏れの跡を確認できます。


すでに錆びてきていますね。


ウォーターポンプ装着用のボルト。磨いて点検し、再使用しました。




さて、ここからが本整備の要点です。

ラジエターアッパーホース、ロアホースは新品に交換するのが基本ですから特に問題ありません。しかし、その他にもたくさん使われているウォーターホースは、全部新品に交換するわけにはいきません。

時間にも予算にも限りがあるので、落としどころの見極めが必要です。


どのホースにも堆積物が認められます。漏れ止め以外にも、真水で走っていたことがあるのかも。鋳鉄ブロックだからといって、出鱈目な管理は禁物です。

ストレート形状のものは汎用品に交換しますが、特殊な形状のホースは状態をよく確かめながら清掃し、使えるものは再使用します。この判断には、「再使用した箇所をあとで整備することになった場合に必要となる工程」を考慮することが欠かせません。



まことに美しくない写真たち・・・。



サーモスタットケースのウォーターネックは、堆積物を粗削りした後で洗浄槽へ。


新しい部品を正しく取付けることによって、新車時同様の耐久力を取り戻すこと。それを念頭に、各部品の状態を整えます。眺めて惚れ惚れとするような仕上げにはしませんが、もしそれを目指す場合にも、この原則を守ることが大切です。



最近のクーラントには、10万マイル(16万キロ)交換不要を謳う商品も存在します。しかし、それをそのまま実現するためには、エンジンの使用状況をすべてメーカーの想定範囲内におさめることが前提条件になると理解すべきでしょう。

このエンジンの場合、FTECでは2年毎のクーラント交換を推奨しています。
漏れ止めは、なるべく使わないでいただきたいですね。