フォード ブロンコ エディーバウアー(1994年式)です。
シャシ整備の集大成として、車検整備を施します。
アクセサリー類の更新についても、併せてご紹介いたします。
タイロッドエンドのボールジョイントは健全でしたが、ダストブーツが破れていました。
ダストブーツは部品の寿命を直接左右するので、見つけ次第交換するのがFTECの流儀です。
ダストブーツは部品の寿命を直接左右するので、見つけ次第交換するのがFTECの流儀です。
シャシ整備の際に、前サスペンションのキャンバーとキャスターを変更しています。
ブレーキホースやABS用のスピードセンサーは、純正位置に固定されています。
工場内でロックtoロックまで転舵して、タイヤと干渉が無いことを確かめます。
サスペンションのストロークや走行による揺動もイメージすることが肝要です。
ブレーキホースやABS用のスピードセンサーは、純正位置に固定されています。
工場内でロックtoロックまで転舵して、タイヤと干渉が無いことを確かめます。
サスペンションのストロークや走行による揺動もイメージすることが肝要です。
FTECでは、油脂類や冷却水の交換を車検整備の標準作業に位置付けています。
このブロンコの場合は、ATF交換も実施します。
このブロンコの場合は、ATF交換も実施します。
ATオイルパンの磁石には金属粉が付着しています。
この金属粉の性状を観察することでも、ATミッションの状態を推察することができます。
この金属粉の性状を観察することでも、ATミッションの状態を推察することができます。
再使用する部品は「組付けにふさわしい状態」に整えます。
オイルパンのボルトを磨くことは、正確な締付トルクを得ることに寄与します。
オイルパンのボルトを磨くことは、正確な締付トルクを得ることに寄与します。
コルク素材のATオイルパンパッキンは、できれば避けたいというのがFTECの本音です。
このブロンコが搭載するE4OD型トランスミッションには、良質のパッキンが存在します。
このブロンコが搭載するE4OD型トランスミッションには、良質のパッキンが存在します。
エンジン冷却水やオイルの交換に、特別な手順はありません。しかし、せっかく広範囲に亘る分解整備を施して綺麗に組み上げたのだから、この作業で廃液が付着したら拭き取るだけで済ませずにスチームで洗浄したいというのが人情です。
社外品のステップは、極太のパイプをメッキ仕上げしたものです。
おそらく付属品であろう汎用ステーが、粗雑で危険な状態でした。
おそらく付属品であろう汎用ステーが、粗雑で危険な状態でした。
剛性に不安が無いのはアメリカらしいのですが、無駄肉が多すぎて整備の邪魔です。
もし寝板で潜って整備中に、この角に頭をぶつけたら労働災害は確実。
もし寝板で潜って整備中に、この角に頭をぶつけたら労働災害は確実。
切断したステー端部のエッジは、ヤスリで丸めて防錆塗装を施します。
車体の水平基準線にステーの形状を合わせると、自然な外観にまとまります。
車体の水平基準線にステーの形状を合わせると、自然な外観にまとまります。
次に、運転席側のドアピンスイッチを交換します。
物理的な破損によって、ドームライト(ルームライト)が点かない状態です。
物理的な破損によって、ドームライト(ルームライト)が点かない状態です。
車体側の配線が正しい状態であれば交換は容易なのですが、現車の配線は駐車ブレーキペダルの奥で絡まった状態になっており、古いスイッチを外すことはできても新しいスイッチにカプラーを結合することができない状態でした。
2柱リフトから降ろしてドアを全開にできるタイミングで駐車ブレーキペダルを取外し、車体側配線を正規のルートに直します。
2柱リフトから降ろしてドアを全開にできるタイミングで駐車ブレーキペダルを取外し、車体側配線を正規のルートに直します。
先端を鉤状に曲げたTIG溶接用の溶加棒で、ドアピンスイッチのカプラーを装着穴に導きます。将来再びドアピンスイッチを交換する時は、今回より遥かに短時間で完了できるでしょう。
ブロンコのドアピンスイッチの突き出し量は、自動調整式です。
ドアライトとドームライトの正常動作を確認して、この部分の修理は完了です。
ドアライトとドームライトの正常動作を確認して、この部分の修理は完了です。
純正カプラーのソケットに、電球の替わりに挿し込める部品で電源を取る仕組みです。
装着の手間を極限まで省いた商品企画に、驚かされます。
装着の手間を極限まで省いた商品企画に、驚かされます。
これで装着が済んでしまうかと思いきや、そうはいきませんでした。
車体側の穴のサイズと合わず、奥まで部品が入りません。
車体側の穴のサイズと合わず、奥まで部品が入りません。
黒い跡が帯状に付いている部分は、防水パッキンの接触面です。
短気を起こして車体側の穴を拡大しようものなら、雨漏れの収拾がつかなくなります。
短気を起こして車体側の穴を拡大しようものなら、雨漏れの収拾がつかなくなります。
なぜ形状に沿わないのかよく観察してみると、、、
上側の線がまったく合わない。車体側の加工でこの問題を解決することはできません。
どうやら、LED式ハイマウントストップライトの形状に問題があるようです。
基盤上方のリブ形状がおかしい。原因は、金型の設計不良ですね。
基盤上方のリブ形状がおかしい。原因は、金型の設計不良ですね。
基盤上方の三角形のリブを、ニッパーですべて切除しました。
LEDハイマウントストップライトの仮組と作動テスト。
中央の白色灯火は、カーゴライト(荷物灯)です。
中央の白色灯火は、カーゴライト(荷物灯)です。
動作テストが済んだら、再度取り外して車体側の配線を改造します。
もしLEDライトが不良品なら返品交換を手配しなければなりませんし、純正に戻して車検に臨む必要があります。従って、最初はLEDライトの仕様書通りに電源を取っていました。
純正の電球用ソケットはそれ自体が防水を担っており、先端部だけを交換する消耗品です。
もしLEDライトが不良品なら返品交換を手配しなければなりませんし、純正に戻して車検に臨む必要があります。従って、最初はLEDライトの仕様書通りに電源を取っていました。
純正の電球用ソケットはそれ自体が防水を担っており、先端部だけを交換する消耗品です。
純正新品の電球式ハイマウントストップライトを装着するなら、車体側ハーネスの先端をソケットごと新品にするのが定石です。しかし、LEDに仕様変更するのに電球式のハーネスを新調するのは下策です。新品ソケットでも接触不良のリスクは残るのに、購入に費用をかける意味はありません。
配線は半田付けして確実に結合します。LEDの極性確認を忘れずに。
もし将来、純正の電球式に戻すなら、下の写真の純正ハーネスを購入すればOKです。
もし将来、純正の電球式に戻すなら、下の写真の純正ハーネスを購入すればOKです。
ストップの信号には赤色、カーゴライトの信号には青色の、脱着可能な端子を使用。
こうしておけば、将来別のLEDハイマウントストップライトに変更する時も結線が楽です。LEDハイマウントストップライトを車体に装着するスクリューは再使用するので、磨いてミッチャクロンを吹いてからマットブラックの耐熱塗装を吹き付けました。
こうしておけば、錆びてみすぼらしくなることはないでしょう。
こうしておけば、錆びてみすぼらしくなることはないでしょう。
| うん。格好いい。 |
次に、リヤゲート左右のワイヤーを交換します。
ブロンコのリヤゲートは、ガラスを下方向に引き込んでから水平に倒せる構造です。このワイヤーによって、水平位置を保つ仕組みになっています。
このリヤゲートは非常に重く、ワイヤーには見た目以上に大きな荷重がかかっています。
下の写真は左側ワイヤーのゲート側取付け部。
画面左が車両前方です。
少し角度が付いてしまっていることが解ります。
画面左が車両前方です。
少し角度が付いてしまっていることが解ります。
ゲート側のワイヤー装着部分には補強が入っているので、容易には修正できません。
塗装をやり直す機会があれば、加熱修正に挑戦したいところです。
塗装をやり直す機会があれば、加熱修正に挑戦したいところです。
32年も昔のクルマの、こんな部品が今でも買える。
日本車のユーザーも、機会あるごとに問題提起をしてみてはいかがでしょうか。
日本車のユーザーも、機会あるごとに問題提起をしてみてはいかがでしょうか。
新しいドアアウターハンドルを、装着できました。
再使用する部品を「組み付けにふさわしい状態」に仕上げることが、美観にかかわることもある。新しいメッキパーツが引き立つように、手を尽くして仕上げたいですね。
再使用する部品を「組み付けにふさわしい状態」に仕上げることが、美観にかかわることもある。新しいメッキパーツが引き立つように、手を尽くして仕上げたいですね。
最後に、エアコンの性能を確認します。
現車は1994年式なので、クーラーガスがR12からR134aに変更された頃にあたります。
当時の日本やヨーロッパでは、冷房能力の低下はやむなしという認識でした。
アメリカでは、ガスの能力を補うシステムを構築して冷房能力を死守していたようです。
現車は1994年式なので、クーラーガスがR12からR134aに変更された頃にあたります。
当時の日本やヨーロッパでは、冷房能力の低下はやむなしという認識でした。
アメリカでは、ガスの能力を補うシステムを構築して冷房能力を死守していたようです。
| 我慢が大嫌いなアメリカ人、流石です。 |
FTECは、関東運輸局長認証の自動車分解整備事業所です。独立行政法人 自動車技術総合機構の検査ラインで保安基準の適合判定を受けて、車検を更新しています。
このブロンコは、整備記録簿にびっしりと項目を書き込んで検査に臨み、一発で合格判定を得ることができました。ブレーキ力が不足する懸念は、もうありません。
このブロンコは、整備記録簿にびっしりと項目を書き込んで検査に臨み、一発で合格判定を得ることができました。ブレーキ力が不足する懸念は、もうありません。

これまで10回の記事に分けて解説してきた、フォード ブロンコのシャシ整備。
今回の記事で、ひと区切りと致します。
修理の現場には「想定外の事態」がつきもので、「対処方法はひとつではない」と、お感じいただけましたでしょうか?数多の対処方法の中から「どれを選ぶか」は、オーナーと整備士が自由に決めて良いことです。
FTECがブログで記事を公開する理由は「皆がそうすべきだ」と言いたいからではありません。「FTECならこの方法を選ぶ」「その理由はこれだ」と言いたいからです。
今回の記事で、ひと区切りと致します。
修理の現場には「想定外の事態」がつきもので、「対処方法はひとつではない」と、お感じいただけましたでしょうか?数多の対処方法の中から「どれを選ぶか」は、オーナーと整備士が自由に決めて良いことです。
FTECがブログで記事を公開する理由は「皆がそうすべきだ」と言いたいからではありません。「FTECならこの方法を選ぶ」「その理由はこれだ」と言いたいからです。
「動作環境の周囲に配慮する」「将来のために冗長性を残す」「組付けにふさわしい状態に仕上げる」これらは、FTECが自分自身と交わした約束です。
愛車を託す整備工場を探しているオーナーや、作業の質を評価する職場を探しているメカニックに、役立つ情報が含まれていることを祈念します。

