エアコンシステムを刷新し、冷媒をR134aに変更します。
BNR32が新車時に一般的だったクーラーガスR12は、既に製造や輸入が法律で禁じられており、今なお細々と流通している商品は価格がうなぎ上りになっています。
そこで、同じエンジンを搭載するBCNR33の部品を流用してR134a仕様にアップデートし、高性能を長期間持続させる処置をもれなく施すことに決めました。
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新車のクーラーガスがR12からR134aに変わった平成6年頃には、R12のエアコンシステムに使われているコンプレッサーオイルと親和性の高いPOE(=ポリオールエステル)オイルをR134aガスに添加した商品が「代替フロン」の名で売られていました。しかしそれも需要の縮減で採算が合わなくなったと見え、価格が高騰した直後に表舞台から姿を消しました。
そこで、同じエンジンを搭載するBCNR33の部品を流用してR134a仕様にアップデートし、高性能を長期間持続させる処置をもれなく施すことに決めました。
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新車のクーラーガスがR12からR134aに変わった平成6年頃には、R12のエアコンシステムに使われているコンプレッサーオイルと親和性の高いPOE(=ポリオールエステル)オイルをR134aガスに添加した商品が「代替フロン」の名で売られていました。しかしそれも需要の縮減で採算が合わなくなったと見え、価格が高騰した直後に表舞台から姿を消しました。
一方、自動車メーカーが提供していた「レトロフィット」は、基本的にガス漏れや異音などの故障が無く、申し分のない冷風を供給できる完全なエアコンシステムが対象でした。
完全に機能するエアコンシステムからクーラーガスR12を抜き取り、R12用のコンプレッサーオイル(=スニソオイル)を洗い流し、消耗品であるリキッドタンク(=ドライヤー、アキュムレータ)を新品に換え、クーラーガスR134aと専用のコンプレッサーオイルを充填する。
それに加え、R12とR134aとではエアコンシステムに要求するガス圧分布の条件が違うので、必要に応じてエキスパンションバルブや圧力スイッチも変更するというのが常でした。
しかしそこまでしても、R12を使用していた時ほどには冷えなかったのです。
完全に機能するエアコンシステムからクーラーガスR12を抜き取り、R12用のコンプレッサーオイル(=スニソオイル)を洗い流し、消耗品であるリキッドタンク(=ドライヤー、アキュムレータ)を新品に換え、クーラーガスR134aと専用のコンプレッサーオイルを充填する。
それに加え、R12とR134aとではエアコンシステムに要求するガス圧分布の条件が違うので、必要に応じてエキスパンションバルブや圧力スイッチも変更するというのが常でした。
しかしそこまでしても、R12を使用していた時ほどには冷えなかったのです。
BNR32から始まる第二世代のGT-Rは、基本的に同じエンジン(RB26DETT)を使用しています。今回FTECコーポレーションで施工するのは、R134aのエアコンシステムを標準装備するBCNR33のコンプレッサーを流用し、ほとんどすべての構成部品を交換することによって、ディーラーオプションで選んだかのようなエアコンシステムを実現するメニューです。
主な交換部品は、
・BCNR33用 クーラーコンプレッサー
・BCNR33用 コンプレッサードライブベルト
・リキッドタンク(=ドライヤー、アキュムレータ)
・コンデンサー
・プレッシャースイッチ
・エキスパンションバルブ
・エバポレータ
・サーモプローブ
他に、
・コンプレッサー高圧(ディスチャージ)側ホース
・コンプレッサー低圧(サクション)側ホース
を、純正部品をもとに製作して取付けます。
クルマ全体で評価すれば美点も当然あるのですが、ここは留意すべきところです。
リキッドタンクとコンデンサー、アディショナルファンAss’y の比較。
リキッドタンク上部にR134a用のプレッシャースイッチが見えます。
カプラー形状が違うので、車体側ハーネスを加工して接続することになります。
クーリングファンは、BNR34(1999-2004)用を装着しています。
これはコンデンサーの冷却にとってプラスの要素です。
正面向かって右下に、コンプレッサープーリーが見えます。
ベルトがかかっているのはパワーステアリングポンプ。
その下がクーラーコンプレッサーです。
新旧コンプレッサーを比較。
左がBNR32用、右がBCNR33用。サイズの差は歴然。
このコンプレッサーはオーナーがFTECに持ち込んだリビルド品で、BCNR33用コンプレッサーの中でも最前期のものでした。平成8年(1996年)1月を境に、ホースフィッティング部の形状が変わります。
BCNR33用コンプレッサーには全部で3種類の品番が存在します。この最前期だけがOリングを上から抑える仕組みになっており、それ以降はコンプレッサー側のポート内壁に挿し込む仕組みになっています。
どちらもBNR32用のコンプレッサーとはまったく違う形状なので、ホース製作のためには新しいコンプレッサーが要求するフィッティングを材料として取り寄せることが必要です。
ほとんど同じに見えますが... |
左は側面シール、右は平面シールです。 (右にも別途Oリングを取付ける) |
ポートに挿し込む筒の側壁に溝がある方(画面下)が中期以降。 |
ところがなんと!
ホース製作に必要なBCNR33最前期(~96.1)の低圧(サクション)側ホースは、
欠 品 製 廃
と判明してしまいました!!
かくなるうえは、有るもので何とかするより他にありません。
ガスの流れの順に整理すると、
BCNR33最前期用コンプレッサー(リビルド品)→
BCNR33最前期用フィッティング&パイプ(純正新品)→
ラバーホース(汎用新品)→
BNR32用パイプ&フィッティング(純正新品)→
BNR32 車体
を、新たな高圧(ディスチャージ)側ホースとして製作し、
BNR32 車体→
BNR32用フィッティング&パイプ(純正新品)→
ラバーホース(汎用新品)→
BCNR33中期以降用パイプ(純正新品)→
BCNR33最前期用フィッティング(純正中古品)→
BCNR33最前期用コンプレッサー(リビルド品)
これを新たな低圧(サクション)側ホースとして製作する、ということです。
純正部品を流用する改造でも、こうした障壁はつきものです。
この複雑なホース加工を引き受けてくれた取引先には感謝しかありません。次回は、組付けの様子をご紹介いたします。