埼玉県狭山市の自動車整備工場、FTECコーポレーションが、主に特殊整備にカテゴライズされる業務内容を紹介するブログです。

BMW Z3 触媒損傷の修理

BMW Z3 ロードスター(E36/7)です。
エンジン不調で入庫しました。


アクセルペダルを踏み込んでも、まったく出力が上がりません。
最初にアイドリング状態でリフトアップ。
すると、キャタライザー(=触媒)のケースから異音がしています。


オーナー曰く「Z3の持病」。
触媒の担体が損傷したとみて間違いありません。

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Z3の排気系統は、4in2のマニフォールドから等長デュアルのダウンパイプを経てホイールベース後方よりにキャタライザー、その下流側にふたつのサイレンサーを配置するレイアウト。エンジンから遠いキャタライザーを冷間始動後に暖機するには、長時間を要する設計です。


現車はアイドル状態でも、ケース内からガラゴロと異音を発している状態。

この部品は、ダウンパイプと一体構造なので値が張ります。
損傷状況を確認するために、ステンレス製のケースを切開してみました。



触媒の担体は、まるで河原の石のように丸く小さくなっています。
長年ケース内であそんでいたのでしょう。

これでは、所定のエンジン出力など得られなくて当然です。
いさぎよく交換ですね。


ガスケットやフランジナットなどの再使用不能部品も、もれなく交換します。
O2センサーはフィードバック状態を確認済みであること、後日交換が容易であることから再使用が適当と判断。

ナットにアクセスしやすいパイプの取り回しが嬉しい。流石純正。
上流側サイレンサーの出口付近。フロアの補強に干渉されてパイプが絞られている箇所。 
下流側サイレンサー(リヤマフラー)。内部には、触媒の破片が残っているでしょう。

砕けた触媒担体の破片が、すべて排気されたとは限りません。
キャタライザーケースの後方には、いくつか残留が予想できる箇所があります。

しかし、サイレンサーを分解して破片を取出し、複雑な隔壁を元通りに溶接するのはコスト面で非現実的。だからといって排気系統全部を新品に替える程のこともないでしょう。

社外品も数多く流通しているので、ココは次回以降のお楽しみとしました。


ちなみに、音質面で好みは分かれるでしょうが、BMW純正サイレンサーの消音効果は相当なものです。おそらく既製品でこれより静かなマフラーは無いでしょう。

キャタライザーがエンジン不調の原因であることを確認するために、ちょっとだけ直管でレーシングさせましたが、音量は大変勇ましいものでした(笑)。