三菱 ジープJ37(1982年式)です。
アクスルとステアリングの整備を行いました。
・ベアリングから断続的な軋み音が出ている
・ハンドル操作が渋く、しかも進路を乱されやすい
各稼動箇所をリフレッシュし、これらの症状を改善します。
異音はタイヤの回転速度に同期しており、アウターベアリング不良時に特有のもの。
リフトアップして遊び量の過多を確認、ブレーキのバックプレート裏にデフオイルが漏れ出していることも判明しました。
ジープには、パワーステアリングがありません。
大径ハンドルとギヤ比の大きなステアリングギヤボックスで、操作を軽くしています。
経年変化によって各稼動箇所が摩耗してくると、遊び量がガタつきとなったり、錆びついて固着したりして、操作感覚が著しく損なわれます。この種の症状は何年もかけて少しずつ進行するので、オーナーには気づきにくいという特徴があります。
このクルマも、わだちのある幹線道路でブレーキを踏むと、緊張感が高まる状態でした。
・ 路面の不整に進路を乱されやすい
・タイヤの様子がステアリングに伝わりにくい
・ 大径ハンドルなので修正舵をあてるアクションが大きい
・ あてた修正舵がなかなかタイヤに伝わらない延々この繰り返しでは、ロングドライブに出かける気が萎えてしまいます。
デフカバーを外し、乳化しかかっていた古いデフオイルを排出。
シャフトを抜いて、デファレンシャルギヤセットを取り出します。
抜き取ったハーフシャフト(ドライブシャフト)中央側からブレーキバックプレートを望む。
右斜め45度の位置に黒々とついているのがアウターシールから漏れたデフオイル。
ピニオン側はバラしません。ベアリングの流れと遊びの確認に留めます。
インプットシャフトとピニオンをばらすと、フルオーバーホールになってしまいますので。
オイルが乳化していた割には切粉も少なく、ケース内部はとても綺麗。
オープンデフでエンジン出力もそんなに高くないことが効いているのでしょう。
ちなみにフリーハブもついていませんので、後輪駆動を選択しても前デフは回っています。
インナー側の浮錆は3Mのサンディングパッドで除去します。
デフオイル漏れの原因箇所、アウターオイルシールを交換。
つづいてステアリングまわりの整備です。
ピットマンアームとアイドラーアーム、両方分解して消耗品を交換します。
全ベアリングに加えオイルシールとスペーサーもすべて交換、グリスアップして規定トルクで締め付けます。作業の合間には、各構成部品に防錆塗装を施しました。
バーフィールド式の継手に新品グリースを給脂。
グリスニップル付のボールジョイントにも組む前に給脂しておきます。
キングピンを保持するボルトの雌ネジをタップで清掃。
古いシーラントが大量にでてきます。
この状態でハブベアリングまで規定トルクで締め上げて、静的動作確認を行います。
素手で動かせなかった作業前とはうって変わって、滑らかな作動を実感できます。
最後にブレーキ調整をして完成です。
組み上げ直後の約200㎞を軽めの負荷で走行すると、機構全体の調和がとれて長もちするでしょう。古いクルマは地味な整備の効果を殊更に際立たせてくれるところが魅力です。