フォルクスワーゲン ニュービートル(2000年式) です。
ルーティンメンテナンス(1年点検)で入庫しました。
日本の輸入代理店(=VGJ)によると、FFになって1998年にデビューしたモデルを「ニュービートル」、2012年にフルモデルチェンジしたモデルを「ザ・ビートル」と呼ぶのが正解らしい。
油脂類と冷却水などのリキッド類は、メーカー推奨品をメーカー推奨の時期より早めに交換します。オーナーからお話をよく聞いて、使用条件を鑑みて時機を決定していきます。
右側ドライブシャフト内側のブーツが破損しています。
放置するとCVジョイントが損傷してシャフトアッセンブリー交換になってしまいます。
こういう不具合は、見つけたら即修理。その判断が、結局維持費を軽減します。
タイロッドエンドブーツも破損しています。
破断面を観察して時期を予測し、ボールジョイントにガタがないことを確認。
今回は、グリスを交換して汎用のブーツを取付けました。
メーカー純正部品は、ロッドエンドアッセンブリーのみの供給となっています。
ブレーキキャリパー、ディスクローター、キャリパーサポートを取り外し、ロアボールジョイントを外せばドライブシャフトアッセンブリーを抜き出せます。
ブーツが破損していたのは、右シャフトのインナー側のみ。
長いほうのシャフトは角度に余裕があるので内側が切れることは稀ですが、ニュービートルの場合はそれを見越してか、そこだけ安手の素材でブーツを作ってしまったように見えます。
カシメを外してキャップを交換、Cリングを外してベアリングを取り出します。
ここのセレーションは結構タイトで、真鍮棒と銅ハンマーを使いました。
ベアリングとケースを洗浄してエアブロー。キット内のグリスを充填します。
両手がグリスまみれで記録写真を撮れなかったため、中途は省略。
このグリスは日本車のそれより稠度が高く、写真の向きで作業しないと流れ出てしまいます。おそらく、ジョイント部のフレッチングに対する考え方の違いが現れているのでしょう。
その他、作業手順は一般的なFF車と何ら変わるところはありません。ただ、ハブキャリアと外側のセレーション、CVジョイント内のベアリングと内側のセレーションの嵌合がキツめで、こうした設計上の傾向に欧州車っぽい手応えを感じました。
ガリガリと異音が出始めてからでは手遅れですし、リビルド品の流通量も国産車よりは少ないでしょうから、早期発見・早期修理できたのは幸運でした。
2014年は、ニュービートルが公道上にデビューしてから16年目にあたります。
周到な計画のもとに整えられた単純明快なデザインが奏功して、同年式の他車よりずっと活き活きとして見えると思いませんか?
要所要所を押さえ、手入れをしながら長く乗る。
FTECは、そのお手伝いをすることに喜びを感じています。
http://www.rodpenroseracing.com.au/
おまけの動画は、ニュービートルのカウルを被せたドラッグレーサー。
「恰好だけニュービートル」なのは一目瞭然ですが、可愛らしくて好印象です。