本革巻きステアリングホイールの修理です。
経年劣化によって、表皮の剥がれや退色が生じたハンドルの革を巻き替えます。
施工後の写真 |
手に触れる所にすり切れやべた付きがあっては、運転が憂鬱になってしまいますね。
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一昔前のクルマなら、まったく別のステアリングに交換するのが定石でした。
でも今のクルマはハンドルまわりにオーディオコントロールやエアバッグが装備されており、汎用のアフターマーケット品への交換は難しくなってきています。
せっかく機能的に配置されているスイッチ類は活かしたい。
エアバッグを取り外して警告ランプがつきっぱなしなんて、もってのほか。
そういう人向きに、ハンドルカバーという商品がお手軽な価格で流通しています。
しかしグリップが必要以上に太くなるうえ、見た目のチープさが何とも物悲しい。
FTECが推奨するのは、劣化した表皮だけをはがして張替える方法です。
巻き替える革の色は、既製の材料から近似色を選ぶ方法と、染色する方法が選べます。
このステアリングは、エアバッグとコラムカバーを色見本として、近い色の革を採用。
染色しても異なる素材間で完璧な同色は望めませんし、内装色は部品ごとに微妙に色目が違うのが普通。よって、違和感のない範囲で選んでいくのが得策と判断しました。
新しい革の質感は、ビニールのカバーとは格別です。
純正の新品ステアリングは値が張るケースが多いうえ、絶版もあり得ます。
痛んだ部品を再生して使用することは、環境保護の観点からも好ましいかも。
こうした部品の損耗は、オーナーが長い年月を共に過ごした証しでもあります。
FTECとしては、クルマへの愛着が増すような対処方法を推奨したい。
この作業にかかる費用は、ボスやステアリングを新調するよりずっと安価です。
作業中に車を動かせないことだけは、不便かもしれません。が、こういう選択肢もあるのだと、似た境遇のオーナーにも知っていただければ幸いに存じます。
【追記】
「革そのものを交換する」この記事の方法は、長期にわたる耐久性を期待できます。
「表皮を削って塗装する」という方法とは、どうか混同しないでください。