メルセデスベンツの直列4気筒、M271型の整備です。
C180からE250まで、幅広いモデルに搭載されたダウンサイジングエンジン。
総排気量は1795cc、これで車重1.7t を駆動するのですから大したものです。
スーパーチャージャー付 120kW (163ps) |
エンジンチェックライトが点灯し、DTC P0020 が検出されました。
カムタイミングアジャスター( A2710 510 177 ) を交換します。
M271はダブルカムで、IN/EX とも同じ部品でカムタイミングを制御しています。
今回検出された故障コードは、エキゾースト側の不良を示すもの。
経時劣化に起因する故障と判断し、インテーク側も同時交換と決めました。
エキゾースト側のカプラーを外すと、エンジンオイルの滲入が確認できます。
ヘッドとの嵌合面をシールするOリングは健全です。
ゆえに、目視可能なエンジン外部にオイル漏れは生じていません。
カムアジャスターという部品単体の内部でオイル漏れが生じています。
いつから、どのくらいの量が漏れ出したかを考慮しつつ作業することが肝要です。
ヘッド側の嵌合面を点検、清掃して新品装着に備えます。
事前の予想通り、インテーク側も同様のダメージがありました。
現時点でDTCはセットされていませんでしたが、時間の問題だったでしょう。
カムアジャスターAss’yと、全Oリングを新品に交換して作業は完了です。
故障診断の質的良否は、DTCスペシャリストの想像力で決まります。
エンジンチェックライト点灯をきっかけに入庫するケースでは、完成引渡し直後に再点灯しないよう特段の配慮をしなければなりません。
今回のようなケースでは、カプラー内に漏れたオイルが配線内部を伝わって、どこまで到達したかについても、考慮することが必要です。毛細管現象でエンジンコントロールユニットにオイルが回ってしまうことも、ありえないとは言い切れませんからね。
DTC消去後は、快活な走りがよみがえりました。
ダウンサイジングコンセプトは、BMWも取り組んでいる欧州の主流。
小排気量高効率のエンジンで、日本市場にも良い刺激をもたらしていただきたいものです。