メルセデスベンツ SL500 (R129) です。
ブレーキ整備で入庫しました。
テスト走行でブレーキを踏むと、ペダルタッチが非常に硬く、踏力と制動力が合わない感覚。
整備履歴を調べると、ディスクパッドやローター等の消耗品は順当に交換されていましたが、キャリパーの整備歴はありません。今回は、前後キャリパーのシールキットとあわせて全ブレーキホースの交換も行うことに決めました。
R129型はメルセデスベンツSLシリーズの4代目として1989年にデビュー、以後12年にわたって生産された2シーターオープンスポーツモデルです。
SLとは軽量スポーツカーを指す記号ですが、このクルマは車両重量で1.8t もあります。
軽快に走らせるために信頼できるブレーキが要ることは、自明の理と言えそうです。
このクルマのブレーキキャリパーは、前後とも Ate 製。
シールキットの内容は、シールリング、ダストブーツ、リテーナーのセット。
これらに加え、前後のブレーキホースも交換します。
前 : 13.0441-4214.2-K
後 : 13.0441-3817.2-K
予想通り、ガッチリ喰っているピストンがありました。
シリンダー(ボア)側も表面の錆を除去して点検し、ホーニングして仕上げます。
性能とは無関係ですが、バラすと使えるケミカルでキャリパー本体の汚れも除去。
処理後のピストンは、素手で全部組み付けられるのが普通です。
健全な状態に回復すると、ブレーキング時のクルマの姿勢も良くなります。
このクルマの積算走行距離は、12万キロ。
年式を考えると少なめです。
オーナーが整備計画を決める際、走行距離に依存しすぎると、劣化したフィールに気付かずに乗る期間ができてしまいます。日々少しずつ進行する症状に一番気付き辛いのは、一番頻繁に乗る人ですからね。
自動車は、ステアリングのアシスト量やサスペンションの強さなど、運転操作のフィーリングが全体として調和するように設計されていますので、これらのバランスに狂いを感じた時を整備のタイミングと見做すのも良いでしょう。
おまけの動画は、R129型SLがデビューした当時のプロモーションビデオ。
最近の作品とは違って、早回しもCG合成もなし。
びっくりするほど豪快に疾走するSLの姿が見られます。
消費は美徳といわんばかりの世相がクルマのまわりにたくさん映り込んでいて、40代から上の人にとっては、懐かしくも照れくさいイメージですね!