埼玉県狭山市の自動車整備工場、FTECコーポレーションが、主に特殊整備にカテゴライズされる業務内容を紹介するブログです。

デミオのサスペンション交換

マツダ DY系 デミオ (2004年式) です。
インチアップとローダウン化で入庫しました。
モディファイの主旨は、ドレスアップです。


DY系デミオは、「MAZDA2」として2002年に世界市場にデビュー。共通シャシーのフォード フィエスタは、2008年のラリー・ジャパンでタレントの哀川翔が搭乗し注目を集めたモデルです。


クルマをコントロールする喜びを知っているオーナーの期待に応えるため、要所要所に小技を効かせてセッティングを施します。

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まず最初に、アッパーマウントとボールジョイントにガタがないことを確認します。
次に、ロアアームブッシュとスタビライザーブッシュの健全性を確認。
ハブベアリングのエンドプレーは、規定値以上なら躊躇なく交換します。

今回使用するショックアブソーバーは、KYBのローファースポーツ。バンプラバーはデイトナ。スプリングは車検対応の非線形で、レートは 前2.4kg/mm 後2.0㎏/㎜。
セット後の車高は 前 -4.7cm、後 -3.2cm です。


DYプラットフォームの前ロアアーム内側には、2種類のブッシュが使われています。
赤い矢印のボルトを一旦緩めてからアームの角度を変更後の車高で静止した位置にセットし、締め直すことによって軽く素直に縮むサスペンションに近づけます。


リヤのスプリングは、自由長が非常に長い仕様。
いわゆる車検対応の遊ばないサスというもので、1G状態では上側5巻が密着します。


大きくストロークした際の低質な打音を避けるため、インシュレーターを装着。
1Gで密着する5巻の上下に接着するタイプのものを使用し、車高の狂いを防ぎます。


このサスペンションに組み合わせるタイヤのサイズは、195/45R-16。
マツダ純正のアルミホイールは、エンケイ製の軽量なものです。


アライメントは、前がトーアウトの傾向に変位します。後は調整できませんが、トーインになっています。

もともとマツダやスバルは、トヨタや日産より転回時の押し出しが弱いジオメトリーです。このセッティングは更に回頭性を際立たせるため、乗り手によっては回り過ぎてナーバスと受け止められる可能性もあります。一般的には、前のトー角もイン側にセットし直した方がリラックスして走れるでしょう。


一般的でないセッティングを施した理由は、オーナーのスキルが一般的でないからです。

クルマが運動の限界点に近づくにつれて、やって良い操作と悪い操作とをハッキリと区別してくるのは、サーキットでも一般道でも同じことです。オーナーのドライビングスキルを斟酌する上で肝心なのは、限界を超えた時の対処能力よりも、限界が近づく気配を察知する能力を重視することだと、FTECは信じています。




おまけの動画は、DY系デミオが現役当時のプロモーションビデオ。

この市場の開拓者は初代デミオであるという矜持と、誠実な商品を提供して再び市場をリードせんとする野心を感じさせる作り込みです。

いいモノは必ず売れるという市場原理が働くように、我々も見る目を養いたいものですね。