埼玉県狭山市の自動車整備工場、FTECコーポレーションが、主に特殊整備にカテゴライズされる業務内容を紹介するブログです。

カプリスのエキゾーストパイプ製作

シボレー カプリスクラシック(1985年式)です。

オーナーはかつて、個人でアメフェスなどのカーショウに参加していました。
当時装着していたサイドマフラーの作製を振り返ります。


いわゆるサイド管は、アメリカのカスタム様式のひとつです。
「日本の法規に則って雰囲気を再現すること」を、製作の目標に据えました。

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エンジンの外観は派手目ですが、エーデルブロックのキャブレターとヘッドマンのエキゾーストマニフォールド(へダース)を装着している他は、ごくおとなしい仕様です。オートチョークでエアコンもついていますし、もちろん、このまま車検にもパスします。


純正のエキゾーストパイプは、鋳物のエキマニ直後で直角に折れ曲り、エンジンオイルパンとトルクコンバーターの間を通して集合させるレイアウトでした。

ヘッドマンにあわせて新たに作製するにあたり、以下の点を変更します。

・ 左バンクのパイプ取り回しを、コンバーターの後側に変更する
・ 左右バンクの集合部までの距離を、できるだけ長くする


材料には、アルスターの電縫管を使用。加工がしやすく経済的なのが美点です。




ディフューザーは、1960~80年代のNASCARのイメージで製作。

本物のストックカーのサイド管は、車高を限界まで下げて、サイドシルと地面との僅かな隙間に通すため、平鋼板をプレス加工して薄いディフューザーを作製し、出口に装着しています。

しかし、今回のようなワンオフ製作で型起こしなどしたら、いくら材料が違うとはいえ、目玉が飛び出すような金額になってしまいます。

そこで、より簡便な手法を採ることに。

メインパイプと同径のアルスターパイプをバンドソーで挽き、材厚の同じ平鋼板を三角形に切り出して溶接します。これをディフューザーとして仮組みし、車体形状にあわせて出口を調えるという段取りです。




純正より良くなっているとはいえ、ATミッションへの影響に配慮し、サーモバンテージを施工しました。最低地上高に影響しない、ぎりぎりの取り回しを実現しています。




アメ車のサイド管は、側面中央が膨れた車体形状(ラテラルオーバーハングの大きい形状)に良く似合います。それは、1970年代に流行したデザイン。

「空力?、ナニそれ、おいしいの??」

みたいな時代。

90年代以降は、NASCARの車輌もサイドスカートを装着するので、ストリートロッドがサイド管だけで雰囲気を真似るのは難しくなってしまいましたね。






これからサイド管を製作するなら、2010年(平成22年)規程に則り恒久的なサイレンサーの追加が不可欠です。静粛なサイド管というのも、意外性があって面白いかもしれません。


[参考資料]

審査事務規程の第52次改正 

加速走行騒音規制が適用される車両に備えられた消音器の審査方法を追加