車検整備で入庫し、マフラーを製作しました。
現車が搭載するエンジンは、302ウインザー(5リッターV8)。
左右二本出しの派手なマフラーがついています。
きちんとやるべきことをやれば、この外観でも公道走行が可能です。
入庫時のマフラーを撮影した動画。あるべき触媒が、切って取り除かれていることがわかります。排気マニフォールド直後に鉄パイプとチェリーボムを溶接し、そのまま左右に振り分けただけの形状です。これでは不正改造で違反切符を切られかねません。
純正形状のパイプが残っていれば、純正以上の浄化能力を証明できる汎用の触媒を装着することによって、保安基準に適合させられます。しかし、現車はエキマニ直後の15㎝程しかオリジナルのパイプが残っていないので、別の手を採ることに決定。
アメリカ本国では、純正と同形状の触媒付きフロントパイプが今でも買えます。
触媒もタイヤやブレーキと同じ消耗部品ですから、当然といえば当然ですね。
サイズと重量による航空運賃の負担を下げるため、今回は触媒付きフロントパイプのみを取寄せ、下流側のパイプを製作して現車の出口に接続します。
仮に大箱で純正マフラーを前から後ろまで揃えても、吊ゴムやハンガーが無かったり加工が要ったりすると、その都度追加費用が生じてしまいます。パイプの形状自体に問題がある部品も稀にはあるので、どうしても必要な部品のみ取り寄せて保安基準に適合するように下流側を製作するのは、最小限の費用でできる車検整備ということができます。
触媒とフロントパイプは本国オーダー。ベンドパイプは国内調達。
今回は機能優先なので材質はスチール、MIG溶接で製作します。
鉄鋳物のエキマニから錆びたフランジボルトを、温めて抜く。
ボルトを折ると面倒なことになる。エキマニ側を割るとさらに面倒なことになります。
このスタッドボルト(だったもの)は、再使用不可能と判断。
7/16インチ ピッチ14 のスタッドボルト。これだけ新たに手配するのもナンセンスなので、S45C 8T 調質加工済のボルトを利用して代替品を製作します。
ダイスでねじ山を延長して・・・。
ヘッドを切り落として全ネジを作り・・・。
ダブルナットの締付けによって、ねじ山の遊びを詰めて溶接。
粘りを失わないよう徐冷して完成。
新しいフロントパイプを締付けます。
左右のサイド管を取外して溶接されていたパイプを除去。
新たに製作するパイプを溶接する箇所を簡単に清掃します。
フロントパイプを、右バンク下側から見上げた図。
写真下側が車輌後方(下流側)です。バランスチューブにO2センサーが挿入されていますね。
現車のエンジンには、エアポンプが装着されています。
触媒を早く暖機するための装置なので、当然配管が要ります。
付属の配管は短すぎて役に立たなかったので、同径のアルミパイプで製作。
エンジン側の配管が上方に丸めて縛ってあるのを発見。
正しく繋ぎなおします。
新しい触媒をフロントパイプに連結して、固定します。
左右のサイド管は、再度車体に取り付けて位置を決定します。
これで、マフラーを新規製作する準備が整いました。
次回は、純正の触媒出口から左右のサイド管までのパイピングを記事にします。
おまけの動画は、第三世代エコノライン(1975-91)デビュー当時のもの。
第一次オイルショック後の、のほほんとした雰囲気がにじみ出ています。