三菱 ジープ J37、1982年式(昭和57年式) です。
ステンレスパイプで、ちょっと贅沢なマフラーを作製しました。
G54Bを搭載しています。 |
三菱ジープのJシリーズにお乗りの方なら、マフラーの腐食に苛まれたことがおありでしょう。
最近のクルマたちのエキゾーストシステムは、ほとんどがステンレス製になっています。
しかし、ジープの設計当時はまだ良質のメッキ鋼板さえ普及しておらず、フランジまで薄鋼板のプレス加工で作られていました。
そのため、長く乗る人は錆びては補修、腐っては補修の繰り返しにならざるを得ません。
そのため、長く乗る人は錆びては補修、腐っては補修の繰り返しにならざるを得ません。
しかも、今回のクルマのエンジンには、排出ガス対策のために三元触媒を装着しています。
触媒が生成する大量の水と熱の影響で、ただでさえ腐食しやすいジープのマフラーは一層過酷な条件にさらされることとなり、毎年のように大がかりな溶接・補修が必要な状態が続いていました。
触媒が生成する大量の水と熱の影響で、ただでさえ腐食しやすいジープのマフラーは一層過酷な条件にさらされることとなり、毎年のように大がかりな溶接・補修が必要な状態が続いていました。
A33 マニフォールド&触媒コンバーター。 |
つまらないコストが度々発生するのはお互いに癪なので、思いきってワンオフ製作を決意。
製作にあたりオーナーから提示された条件は、
「現行車並みの耐久性を備えたうえで、可能な限り静かなマフラーを」
というもの。
そこで、FTECとしては、材料をフランジやステーまですべてステンレス製として、純正より太いφ50.8のパイプで取回すことに決めました。
テールパイプに向って冷えていく排気の温度分布を考慮して、長く伸ばしたダウンパイプの直後に大型のサイレンサーを配置し、ダウンパイプの一番低い位置に水抜き用の小穴が開くように設計します。
最小曲Rと取付けスペース、完成後の見え方を検討。 |
なお、このクルマは、車高を下げてオンロード専用車として運用されています。
従って、ランブレークオーバーアングルに関する要求は厳しくありません。
熱的限界を考慮してスペーサーを製作、仮組み。 |
ここだけ見ると、ミッドシップ用のマフラーのよう。 |
後方から折り返す取り回しは、Gクラス等でお馴染みのレイアウト。 |
一番低い所にタイコが来ない構造です。 |
Uボルト止めした中間部からも水分が排出されます。 |
ふたつのサイレンサーとも、内部に水が溜まりにくいことを念頭に配置しました。
プロペラシャフトの真下を横切る直線部分で分割可能な構造とし、駆動系のメインテナンスに対する利便性を高めています。
バイクのそれとは違い、装着後は見えないマフラーですが、焼け色が入るとなかなか妖艶な雰囲気が漂ってきました。
狙い通りの静粛なマフラーとなり、オーナーからは
「別に所有しているプジョーより静かだ」
という評価をいただきました。
耐久性の評価は、10年後にしたいと思います。