埼玉県狭山市の自動車整備工場、FTECコーポレーションが、主に特殊整備にカテゴライズされる業務内容を紹介するブログです。

リーフスプリングの整備 (2/2)

三菱 ジープJ37のサスペンション整備、今日はその続きです。

各部とも事前の予想以上に蝕まれていたことは、前回の記事の通りです。
肚を括って、地味な作業を根気よく繰り返します。

まあ気楽にやれよ、とでも言いたげな表情。

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J30系のサスペンションは、リーフとシャックルを前後12個ずつのラバーブッシュで支持しています。前後のブッシュは別品番で、容量に差がつけられています。

Mitsubishi Jeep J37 / Suspension

各支持点は、ラジアル方向には自由に動けることを前提に設計されています。
まず、ここが固着しているようでは論外です。





ひどく膨れた錆はハンマーとタガネで打ち落とし、フラップホイルで仕上げます。
新品のブッシュにピタリとフィットする面を確保するのが狙いです。
「安全」と「実用」がキーワードですから、深追いは禁物と心得ます。





 ピン側も同様に、新品ブッシュとの接触面を意識しながら仕上げます。




外した部品のねじ山は、すべてタップとダイスで修繕します。
三菱と日産は、昔から細目ネジが好きですね・・・。



バイスは締め付けないこと

ジープJ37の仕様書(昭和55年 自車第797号)によると、前後のリーフスプリングには6枚と7枚の仕様が存在するようです。このクルマのリーフは前6枚、後7枚という仕様でした。



すべて分解し、ステンワイヤーのカップブラシで表裏とも仕上げます。
各リーフから、茶碗一杯分の錆と泥と塗膜が取れます。



表面を調えた後、全リーフの両面を塗装して給脂します。
打音抑止用のパッドは製廃だったので、代替品を取付けて組み上げます。







手指でスパッと嵌められて落ちない嵌合が理想


締め付け直前まで手で組めるしなやかさを維持します



PTFE配合のグリスを音鳴り防止のために塗布して組みます

近年、乗用車用としては見かけなくなったリーフリジッド式サスペンションですが、自動車の歴史上もっとも長期間用いられた懸架装置であることは、疑う余地もありません。

ロールスロイスやベントレーのそれからは、コストを度外視した設計思想を読み取れますし、マスタングやカマロには、モータースポーツ用のオプションが毎年多数、新登場しています。

今回の整備内容は、三菱の整備要領書には記載されていません。
しかし、オーナーはこのクルマの新しい表情を発見できることでしょう。

適切な整備を見極めるためには、幅広い見識が必要不可欠です。
今回の整備を糧に、更なる研鑽に励む意欲を掻き立てられたFTECでした。









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