埼玉県狭山市の自動車整備工場、FTECコーポレーションが、主に特殊整備にカテゴライズされる業務内容を紹介するブログです。

エンジンの暖機運転について

今のクルマに、暖機運転は必要ですか?
そう尋ねられて即答するのは、案外むずかしいことです。

1970年代には、暖機をしないのは素人の乗り手だ、とよく耳にしたものです。
ところが今のクルマの取扱説明書(=オーナーズマニュアル)には、

「始動後はすぐに走り出すように」

ほぼ例外なくそう書かれています。


もしもエンジンが喋れたら、「要るに決まってるじゃねえか!」というでしょうが。

この40年間で、暖機の要らないエンジンができたのでしょうか?

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「熱で膨張する」という金属の物性がある限り、機械には適正な作動温度があります。
当然クルマにも「運転に適した温度」があり、各部品はそれを睨んで設計されています。

今のクルマにも暖機運転は必要であり、その原理は電気自動車であっても同じです。


エンジンの始動要領。(BMW AG)


新しいクルマにお乗りの方は、オーナーズマニュアルをあらためてご覧ください。

「始動後はすぐに走り出すように」とは書いてあっても、「暖機運転は不要です」とは書いていないのではありませんか?

この記述の言下には、停車したままアイドリングで適正水温にしても、エンジン以外は冷えきったままなので、全体をバランスよくウォーミングアップさせるために発車させた方がよい、という含みがあるのです。






ウォームアップやクールダウンの概念は、人間の身体にも通じるところがあります。
慈しむように取り扱われたクルマが長もちするというのは、厳然たる事実です。

クルマに女性の名前をつけるのも、そういう背景あってのことかもしれませんね!