埼玉県狭山市の自動車整備工場、FTECコーポレーションが、主に特殊整備にカテゴライズされる業務内容を紹介するブログです。

BMW E46のロアアームブッシュ交換

BMW 318i(E46) です。
サスペンションおよびブレーキ整備のため入庫しました。

積算走行距離は、47,000km。


今回のメニューの要点は、

・ 前ロアアームのコントロールブッシュ交換
・ 前後ブレーキディスクパッド交換
・ 前ブレーキディスクローター研磨
・ 後ブレーキディスクローター交換

です。

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スチールの補強板を取り外すと、ロアアーム車体側の取り付け部位があらわになります。


前側はボールジョイントなので、後側のブッシュが全コンプライアンスをうけもちます。
走行距離を基準に定期交換する、という管理方法が望ましい典型的な部品です。


ブレーキディスクローターは、一見して摩耗の程度がうかがえる状態です。
他社実施の整備履歴を調べても、整備された記録がありません。交換ですね。


このクルマ、ホイールが外れなくて大変でした。凄い錆びようです。

もともと、BMWはハブとホイールの嵌合がタイトなのですが、手入れがされないまま腐食が進むと本当にガッチリと喰ってしまい、全部クリップボルトを外してもホイールが外れません。

取外し直後のハブ面。

ホイール裏側。

四輪とも同じ状況でした。


嵌合面に潤滑剤を塗布し、しばらく放置。

予期せぬホイール脱落防止のためクリップボルトを1本だけ取付け、半日待つくらいの覚悟が必要です。無事ホイールが外れたら、嵌合面は両方とも清掃します。




外から見ても顕著な摩耗が認められた、後ブレーキディスクローター。
このくらい摩耗が進むと、修正面研は不可能です。


新旧ディスクパッド比較。


ローターとハブの喰いつきは、鉄同士なのでホイール以上に深刻。
両面ともドライな状態で全面接触していたのでしょう。

ハット面を打撃するのは控えたいのですが、サービスホールが無いので避けられません。
じっくり時間と手間をかけて、できるだけ自然に外れるように促します。


ローターは鋳物なので、相応の扱いをしないと思い通りに外れません。


新旧ディスクローター比較。


前ブレーキディスクローターは交換歴があり、厚さも充分なので研磨して再使用。


ハブ側の嵌合面をワイヤーブラシで清掃。


FTECでは、モリブデングリスをスプレー塗布して嵌合面に薄く延ばします。

余談ですが、過去に同じ処理が施されたクルマが入庫したことがありました。
浦和にある接着剤みたいな名前のクルマ屋さんにも、気の利くメカニックが居るようです。

ほんの些細な配慮でも、次回の作業性を大幅に向上させられます。


新品ブレーキディスクローターの装着。


新品のディスクパッドとともに、キャリパーを装着。


ロアコントロールアームブッシュの取り外し。
今回は、ギヤプーラーと二本爪式のプーラーを組み合わせて引き抜きます。



新旧ロアコントロールアームブッシュ。
写真の構図が良くないですが、古いブッシュがルーズになっているのは明らかです。

左 : 新、 右 : 旧



同時進行でエンジンオイル交換を実施。




オイルが完全に抜け落ちるのを待つ間に、エアクリーナーエレメントを交換します。



インテークエアダクトとエアクリーナーケースを取り外さないと交換できない構造。
エンジンの外観を気にしてデザインしたのでしょうが、合理的ではありませんね。


付帯作業として取り外したカバーを清掃。
合理的じゃないことはFTECでもやってる、ってことですかね・・・。


正しい整備、良い性能。
命を預ける機械ですから、見た目に美しいことも重要です。


法定24カ月点検終了後、サービスリマインダをリセットして作業完了。


「ブレーキは、ハンドリングの一部である」とは、ドイツの他車メーカーの金言です。

大径ホイールに扁平タイヤを組み合わせているクルマなら、路面の不整を敏感に感じ取ることができるので、更にはっきりとこの整備の効果を実感できるでしょう。

▲ ショート(1分)

▲ フル(5分)

おまけの動画は、E46が現役当時のCMです。
出演は330xdツーリング。

雰囲気づくりへのこだわりに、BMWというメーカーのキャラクターがよく表れていますね。