巨大なリヤタイヤで軽快に走れるように、ギヤ比を変更します。
今回は、リッチモンド製のハイパフォーマンスギヤに組替えました。
ギヤセットのパーツナンバーは、49-0041-1。
ベアリングを交換し、リングとピニオンの歯当たりを調整します。
純正のギヤ比は 2.73:1 |
「デフを組む」という言葉は、色々な意味で使われています。
・ ギヤキャリアごと交換する
・ 差動ユニットをLSD等に交換する
・ リングとピニオンを組替えて調整する
今回の「デフを組む」は、最後の意味です。
すべてのギヤを一旦取外し、組み上げて再調整します。
ギヤキャリア(ホーシング、アクスルハウジング)へのドライブピニオンの組み込みが、この作業の要諦です。上の写真でリッチモンドのスプライン下に、仮置きしてあるコラプシブルスペーサーが見えますか?ドライブピニオンを組み込む際に変形してスラスト方向の位置決めをする、糸巻型のカラーです。
左: リッチモンド、右: 純正 |
左: リッチモンド、右: 純正 |
ギヤキャリア(ホーシング、アクスルハウジング)へのドライブピニオンの組み込みが、この作業の要諦です。上の写真でリッチモンドのスプライン下に、仮置きしてあるコラプシブルスペーサーが見えますか?ドライブピニオンを組み込む際に変形してスラスト方向の位置決めをする、糸巻型のカラーです。
スペアは無いので、組み込みは一発勝負です。
ピニオンの突出し量をダイヤルゲージで測定 |
ストレートエッジとダイヤルゲージをセットして、慎重にピニオンを組付けます。
ここの公差の見極めには、周到な準備が必要です。この後の工程で、ラージギヤ(ドリブンギヤ)の左右位置も調整しますが、それによってピニオン位置の不良をリカバリーすることは不可能です。少しでも認識に甘えが入り込むと、うなったり高熱をおびたりするダメなデファレンシャルになってしまいます。
リッチモンドは、製品の性能を引き出すために必要な情報を幅広く提供しています。作業要領の解説ビデオなども、古くからカタログに記載しています。
リッチモンドは、製品の性能を引き出すために必要な情報を幅広く提供しています。作業要領の解説ビデオなども、古くからカタログに記載しています。
オリジナルのデフは、ラージギヤ41T、ピニオンギヤ15T。
ファイナルギヤレシオ2.73:1は、GM10ボルトの中では最もハイギヤードなセットです。
今回選択したギヤセットは3.42:1、これにより、約25%のローギヤ化が実現できます。
組みあがったばかりのデフには、慣らし運転(ブレークイン)が必要です。リッチモンドは、「通常の運転速度で16km(10マイル)ほど走り、停車させて30分間徐冷する」というモードで、3回繰り返し走行することを推奨しています。サーキット走行やトレーラーを牽引する場合については、別途詳細な手順が記されています。
今回の例のようなタイヤサイズの大幅変更のほかにも、排気量増加や過給器の取付けによってエンジン出力が大幅に増加した場合などには、適切なファイナルギヤレシオを選択することによって、走行効率を大きく改善することができます。
ATミッションの寿命も格段に延びることでしょう。
末永く楽しくお乗りいただければ幸いです。