ローバーミニです。
エンジンオイルをはじめとする、数種類の液漏れを修理するために入庫しました。
車検に合格できる程度の最低限の補修をしてほしい、とのご要望に応える内容です。
.
ローバーミニは、BMWがリリースする新しいミニの台頭によって、「クラシックミニ」と呼ばれるようになりました。BMC(ブリティッシュ モーター コーポレーション)が最初のミニMk.1を世に送り出したのは1959年ですから、その通名に疑いをはさむ余地はありません。
このクルマは90年代生まれの1.3リッター、インジェクションモデル。
50年代のレイアウトに縛られて、パッケージングは苦しげです。
冷却水もエンジンオイルも、盛大に漏れています。
ちなみに、写真の状態でも2度の高圧洗浄を経ています。
入庫時の状態では、どこから何が漏れているのか、汚れでさっぱり判りませんでした。
点検の結果、作業箇所を
・ デファレンシャル左右サイドフランジ取付面
・ シフトコントロールロッドシール交換
・ タイミングチェーンカバー取付面
・ ドライブシャフトブーツ交換
・ クランクシール交換
に決定しました。
使用したドライブシャフトブーツは、補強入りで純正より柔軟な汎用品です。
シフトコントロールを分解し、ケース側のオイルシールを交換。
デフサイドフランジの取付けは、ボルトが省略されていました。
社外マフラーを吊る際に、穴位置を合わせられなかったのでしょう。
中からは、こんなものが現れました。
サイドベアリングのリテーナーとドライブシャフトのジョイント間に仕込まれたシムスペーサーだったようですが、パーツリストにもワークショップマニュアルにも記載がなく、現品に刻印もありません。
冒頭に掲げた制約があるので、深追いは禁物。
「最もひどく漏れている箇所を中心に、ついでにできる所は修理する」
という方針で作業をすすめます。
嵌合面の清潔と平滑を確認しながら、純正ガスケットとシーラントを併用して組付けます。
ボルトナットは清掃・脱脂を施し、必要に応じてシーラントを塗布して再使用しました。
純正の紙パッキンはいかにも頼りなく見えます。
しかし嵌合面が良ければ、1~2年で漏れが再発することはありません。
「エンジンを降ろさずに」、という制約に基づく作業でしたが、タイミングカバー整備の付帯作業として、エンジンマウントを分解・脱着しています。
「降ろして全ガスケット、オイルシール、パッキン、ホース類に至るまで整備したい」
そう思う一方、そこまでやったら内部の損耗を無視できなくなるのは確実か、とも。
旧車と長く付き合うには、見切りと思い切りのバランスが大切。
あらためて、そう実感させられた整備でした。