メルセデスベンツ W209型 CLK200 コンプレッサー アバンギャルド。
タイプM271エンジンのオイル漏れ修理で入庫しました。積算走行距離は、75,000㎞ です。
GSでオイル漏れを指摘されたとのことで、ある程度の覚悟はしていたのですが、現車のエンジンルームは予想を超えた惨状でした。
まず目についたのは、カムセンサーカプラー内のオイル漏れ。
エンジンアッパーカバーを取外したところ。
前後エンジンアンダーカバーの状態。
オイルが浸潤したカプラーはすべて洗浄してエアブロー。
放置すると沁み込んだオイルが毛細管現象で反対側のカプラーやコントロールモジュールに到達し、ハーネスとモジュールのセット交換を何系統も繰り返す破目になります。
ヘッド側から漏れ伝わってきているものと、その場所で漏れだしているものとの見極めが鍵です。
ラジエターコアサポート左下部。
ATトランスミッション左側。
ウインドウウォッシャー液も漏れ出していました。
フィラーチューブグロメット、ウォッシャーモータ、モーターインシュレーターをセットで交換。
イグニッションコイルのカプラー。
防水スリーブが端子を守っていました。スリーブを洗浄してエアブロー。
イグニッションコイル側のカプラー。
こちらはケミカルを使えないので手作業で分解清掃。どこもかしこも寒気がするほどオイルまみれの状態です。
イグニッションコイルとノイズサプレッサー。
浸潤したオイルを分解清掃で取り除きます。
スパークプラグホール内の様子。
漏れたオイルがたまった底に、プラグが沈んだ状態です。
バキューラでオイルを排出したあとロングシャンクのマイナスドライバーとウエスを使って拭き取り清掃、プラグホールから燃焼室内にオイルや異物が落下しないことを確認。
ノイズサプレッサー分解清掃の様子。
ケミカル洗浄の後にエアブロー。スパークプラグをボッシュからNGKに交換。
品番は ILFR6A #3558 。
エンジン下まわりのオイル漏れ汚濁箇所を徹底洗浄。
アスファルトに虹色の油膜、昔日の既視感が蘇る光景・・・。
スポンジ状のインシュレータに含浸したオイルを完全に除去することは不可能なので、おそらくディーラーではそれを理由にカバーアッセンブリーを交換することになるでしょう。現車は、エンジンフードインシュレーターにもオイルの浸潤が認められました。
ディーラーの判断が合理的であることに間違いはないのですが、万人に通用する普遍的な価値観と見做すのは些か乱暴です。
FTECでは、修理と交換の違いをご理解いただいたうえでオーナーに判断していただくことを是としています。時間と手間をかけることで修理できるものはした方が、患部周辺への気配り目配りが行き届く分だけ確実な修理となる場合もありますから。
仕上げに、エンジンオイルとフィルターキットを交換、オイルサービスリマインダーをリセットして作業完了。GSでオイル交換というのは、手軽なメインテナンス方法でやらないよりはましかもしれませんが、サービスリマインダーやチェンジオイルインジケーターは放置ですし、今回のように症状が進行してから修理にかかると、作業の規模が大きくなってしまいます。
ドライバーに良質な体験を提供できるのは手入れの行き届いたクルマだけ。
メルセデスベンツは愛情を注いだ分きちんと応えてくれる良いクルマです。このクルマの下まわりがいつまでも清潔に保たれますように!