埼玉県狭山市の自動車整備工場、FTECコーポレーションが、主に特殊整備にカテゴライズされる業務内容を紹介するブログです。

ブロンコのシャシ整備・3

フォード・ブロンコ(1994)のシャシ整備。
今回は、後デファレンシャルを点検します。

点検の主旨は、バックラッシュの確認とデフオイルの交換です。
後デフのバックラッシュは、アクセルペダルのON/OFFで生じる打音に関連があります。



現車の後アクスルコードは、#19。
ファイナルギヤレシオは3.55、ラージギヤ径は8.8インチと判ります。



この後アクスルにはドレンホールが無いので、カバーを剥がして古いオイルを排出します。







排出したデフオイルは、水分の混入による乳化が若干あるものの、焼けや金属粉などの異常は認められません。バックラッシュの量は、下の写真の状態でコンパニオンフランジを固定し、ラージギヤを前後させてダイヤルゲージで測定します。



バックラッシュ量は許容範囲内にあり、ラージギヤとピニオンの当たりにも異常は認められません。これを受けデフオイルは、純正指定の公差の中から硬めのものを選んで緩衝効果に期待することにします。




アルミダイキャスト製のデフカバーに変更します。
冷却フィンのデザインが美しい。

プレス鋼板の純正デフカバーより制音効果が高いから
・・・と言うのは、こじつけが過ぎるか。

格好いいから交換です。

このデフカバーにはブリーザ―のサービスホールがあるものの、ニップルは付属していません。手持ちのニップルを装着できるように、カバー内のバッフルプレートを外して雌ねじを切り直します。




イケールに垂直に固定して元のねじ山を削除し、ニップルの要求に合わせます。







ブリーザ―に直接デフオイルがかからないように、内側にバッフルが設けられています。その配慮は歓迎したいのですが、万一このスクリューが脱落すると、デファレンシャルギヤセットを損傷する恐れがあります。



カバー側の雌ねじを入念に脱脂して、スクリュー側にも緩み止めの対策をしてから、ロックタイトを塗布して締め付けます。デフオイルはエンジンオイルより高温になるので、アルミダイキャストのカバーはそのたびに熱膨張と収縮を繰り返します。

何年も先までの動作環境に思いを巡らせて、都度最善の対策を採ることが重要です。



カバーをアクスルに結合するボルトは、新調しなければなりません。プレス鋼板の純正カバーとアルミダイキャストのカバーとでは、ボルト周りの肉厚がまったく違うからです。



新しいカバーをアクスルに仮合わせして、ボルトに求められる長さを割り出します。アクスル側の雌ねじは止まり穴になっているので、ボルトの先端をカットして適切な長さに調整します。









装着前に、アクスルの雌ねじにタップをかけて、嵌合面を清掃します。





アクスルとアルミデフカバーの両面を脱脂してからフルードガスケットを塗布。
ボルトと同素材のワッシャーを併用して、カバーをアクスルに締め付けます。


ブリーザ―にシリコンホースを接続し、フレームの所定の位置に導きます。接地することでアクスルがフレームやボディと近づいた状態を再現し、鋭いエッジがシリコンホースに干渉しないことを確認します。もちろん、サスペンションが伸びた時にホースにテンションがかかってはいけません。




アクスルに軸重を掛けた状態における位置関係で、デフカバーの見え方を確認。
のぞき込まない限り見えない部品ですが、機能美を感じさせる仕上がりです。



新たに装着したアルミダイキャスト製のデフカバーには、磁石を内蔵したドレンプラグが装備されています。デフオイルは渡河や泥濘地の踏破でもしない限り頻繁に変えるものではありませんが、今後のメンテナンスがしやすくなる改造はFTECとしても歓迎です。

次回は、6本装備しているショックアブソーバーの交換を記事にします。