埼玉県狭山市の自動車整備工場、FTECコーポレーションが、主に特殊整備にカテゴライズされる業務内容を紹介するブログです。

テスタロッサのヒューズボード修理

フェラーリ テスタロッサの電気系統修理です。

モダンフェラーリとは一線を画す、ハンドメイド感満載のモデル。
オーナーに「トラブルが無いほうが不安」といわしめた頃のフェラーリです。

電動ファンが回らず、オーバーヒートする恐れが生じたため入庫しました。


他にも、社外品のキーレスエントリーシステムやリトラクタブルヘッドライトに不具合があります。オーナーは何か月も前から気づいていたそうですが、「細かい所までいちいち修理していたら乗る時間が無くなっちゃう」という感覚なので、ここに至るまで放置されていました。

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前側バルクヘッド荷室側に、プリント基板を積層したヒューズ/リレーボードがあります。
テスタロッサに限らず、90年代中頃までのフェラーリの故障はここに集中します。


車体側ハーネスとのコネクターを分離して、ヒューズボードAss'y を取り外します。
この時点で、原因を確信するに十分な「樹脂が溶損した臭い」がします。


全リレーおよびヒューズを取り外し、ヒューズボードを分解します。
ヒューズホルダーのコネクターに、焼損の痕を発見。


車体側ハーネスのコネクター部分にも、あちこち焼損が見つかりました。
このレベルまで症状が進むと、ヒューズボードは交換せざるを得ません。



ヒューズボードの基盤の出来は、ラジオの工作キットに近いレベル。
価格は100倍くらいするのですが、あの世のエンツォにクレームをつけても無駄でしょう。

「いちばん長いレースでも、24時間だ」。
なんて笑い飛ばされるのがオチでしょうから!