メルセデスベンツ B200 (W245型) 2008年式です。
法定24か月点検に相当する整備のため入庫しました。
オーナーみずから自動車検査登録事務所にクルマを持ち込んで検査ラインを通し、車検には合格したものの整備はしていないので総合的な処置を施してほしい、という依頼です。
入庫時の積算走行距離は11万キロ。具体的な不調がなくても点検に入れるオーナーの意識ゆえか、要整備箇所を放置して症状をこじらせたような部分はありません。
・ メンテナンスインジケーターが整備時期の超過を告げていること
・ タイヤ空気圧警告システムが再起動を要求していること・ 左ドアミラーウインカー不灯を警告していること
これらが、一目でわかる整備の要点です。
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エンジンルームは埃をかぶっており、カウルトップには枯葉が積もっています。
砕けた枯葉が穴に落ちると、フロントガラスを降りてくる雨水の排出ルートを閉塞して車室内に雨漏りを発生させるので、この部分はこまめな掃除が望ましい箇所といえます。
エアクリーナーエレメントと、エアコンのピュアフィルターを交換します。
マルチファンクションディスプレイに警告が出ていた左ミラー内のウインカーは、ミラーを折りたたむと不灯となり、展開すると点灯する、という症状でした。
まずはドアミラーアッセンブリーを取り外して、分解点検をします。
メルセデスベンツのフォールディングドアミラー(電動折り畳み式ミラー)の灯火不良は、ミラー内にターンシグナルライトが仕込まれるようになって以来ずっと続いている宿痾のような故障です。
繰り返し屈曲させられるうちに配線が断裂する例が多いのですが、今回は様子が違いました。
最小Rで曲げられる箇所の配線は柔軟性を保っており、分解した配線を手で屈曲させても故障を再現できません。もっと車体よりの部分で、かつ屈曲の影響を受ける箇所に原因があることは明らかでしたが、このすぐ奥で鏡面の防曇と角度調節のための配線が集合しているため、それらを含む配線を全部作り直さなければ持続的な性能を保証することができない状態でした。
だからといってドアミラーをアッセンブリーで交換するのも癪なので、今回はミラーフレーム(写真右側の骨格部分)を取り寄せて、分解した古いミラーの使える部分を再使用することに決めました。
分解のついでに掃除ができる箇所は、もれなく綺麗にして組付けます。
経年変化によって、ステアリングスイッチまわりの塗装が変質してベタベタです。指に粘着する不快な感触が精神衛生上よろしくないので除去して欲しい、とのご要望を頂きました。
エンジンオイルとエレメントキットの交換、ブレーキオイルの交換など、車検整備の標準作業を施して、最後にサービスリマインダ―をリセットすれば整備完了です。
エンジンルームの清掃、前後の比較。あまり変わってないように見える?
他人に自慢して見せるためのディティーリングとは違い、触ると手や服が汚れそうな雰囲気を取去り、枯葉などによる無用なトラブルの芽を摘み取ることが目的の清掃ですから、これはそれに相応しい仕上げであるとFTECは信じています。
プレミアムガソリン仕様の直列4気筒ターボエンジンで、前輪を駆動するメルセデス・ベンツ。
このクルマは、20世紀の常識からは想像もできない新種です。
21世紀の激変していく自動車市場は最古の自動車メーカーに今後どんな要求を突きつけていくのでしょう。デビュー当時は懐疑的に語られていたBクラスのブランドは10年を経て確固たる地位を築くに至り、まもなく3代目がデビューする見込みです。
▲ 初代 (2005-2011年)
▲ 2代目(2012-)
おまけの動画は、歴代Bクラスのコマーシャルとプロモーションビデオ。
軽妙な音楽や快活な笑顔の裏に、いかなる要求にも最適解を出し続け必ず生き残ってみせるというメーカーの決意を感じるのは、深読みのし過ぎでしょうか?