ステアリング操作時の異音修理のために入庫しました。
現車は、1970年から77年にかけて生産された初代セリカクーペ(通称ダルマ)の後期型にあたり、拡幅延長されたシャシーとLB(リフトバック)共通のフロントマスクを持つ、最終型です。
ステアリング操作時の異音は停車状態でも再現できました。ステアリングホイールを90度程左右に振ると、コツコツという類の打音をはっきりと聞き取ることができます。
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転舵装置は重要保安部品なので、優先的に修理しましょう。
ステアリング操作時の異音は停車状態でも再現できました。ステアリングホイールを90度程左右に振ると、コツコツという類の打音をはっきりと聞き取ることができます。
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転舵装置は重要保安部品なので、優先的に修理しましょう。
異音の発生源を特定できました。
ピットマンアーム先端の、ボールジョイントが抜けそうです。
トヨタ部品共販に確認したところ、例によって欠品製廃との回答でした。
「舵取り装置」は重要保安部品なのですが、ほとんどの消耗品が入手不能です。
同型のセリカは輸出もされていたので、海外から取り寄せるなら部品を揃えるのは容易です。今回は運よく、日本国内で調達することができました。
このステアリングギヤボックスのセレーションは全周均一なので、ピットマンアームはどの位置でも装着できてしまいます。古いアームを外す前に、合いマークをつけておきます。
ギヤボックスの軸には汚れが溜まっていますがガタもなく、ダメージは見受けられません。ケミカル洗浄後にワイヤーブラシで清掃して、新しいピットマンアームの装着に備えます。
ナットとワッシャーを点検し、清掃して再使用。
このナットは、現車の整備史上はじめて取り外されたようです。
新しいピットマンアームを合いマークに合わせて締め付けます。
このアームは反対側のアイドラーアームと並行に進行方向に合わせてセットし、その位置をステアリングセンターに定めます。
特に旧車の場合、アイドラーアームやステアリングボスの位置が着手の時点でずらされていることもあるので、精査しながら作業を進める必要があります。
ピットマンアームの交換後、サイドスリップ量をIN1.5ミリに調整して走行テストを行います。異音は消え去り、ステアリング操作の確度が向上していることを確認できました。
今回の整備では、ブレーキ調整と簡単なオイル漏れ修理も、同時に施すことができました。軽量な13インチのアルミホイールや長いホイールベースによる安定感が鮮明になり、後期ダルマセリカに元来備わっている美点を堪能できる仕上がりになったと自負しています。
おまけの動画は、オーストラリアで開催されている、インプルーブドプロダクションレース。1974年のマカオGP ギアレースで舘信秀選手が優勝したときのマシンを彷彿とさせる、黄色いダルマセリカの奮闘を見ることができます。
技術立国として大量消費時代に覇権を手にした日本において、自動車文化が醸成されるのはこれからなのかもしれません。
人生は一度だけです。皆さん、存分に楽しみましょう!